―昨年を振り返って。

 国際的視野と地域密着の両輪で進めました。医療は社会の核である以上、地域経済や地域社会への還元を考えなければなりません。東京で開かれた第1回国際ウェルネスツーリズムEXPOに出展し、県内観光地をPRしながら医療ツーリズムを発信しました。また、24時間断らない救急を実践したほか、医師不足が深刻な下呂市と「ドクターカー協定」を結ぶなど広域からの患者も受け入れました。美濃加茂市とは加茂医師会など地元機関とともに災害医療協定を締結しました。

 メディカルフィットネスに取り組むセンター隣の健康増進施設クラブMでは岐阜大と共同研究する契約を結び、科学的根拠に基づいたトレーニング方法を開発。どんな運動が健康維持に役立つかを提示するなど、治療だけでなく予防医学にも力を入れてきました。

 ―今年4月から陽子線がん治療センターで治療が本格的に始まります。

 アメリカ・バリアン社製の世界最新の装置を日本初導入しました。陽子線治療施設は県内初です。「スポットスキャニング方式」という治療法で、360度の方向から、腫瘍の形や大きさに合わせて精密に患部に照射することが可能です。体への負担が少なく、正常な細胞へのダメージを抑えることができます。超電導サイクロトロンで陽子線を作り出すため治療時間が短く、前立腺がんや肺がんのほか、食道、頭頸部、肝臓、大腸などの治療も可能です。照射時間は1~2分、治療時間は20分程度で、患者さまが働きながら治療に通えるよう診療時間を午前7時から午後8時にします。

 ―新年の抱負をお願いします。

 新型コロナウイルス感染症の流行でできなかったことが市民との接点です。1階ホスピタルモールは市民に開放するために作りました。演奏会や絵画展の開催など、今年は市民交流の場として開放したいと思います。