今春、〝高校野球革命〟が訪れる。高校野球は練習試合が解禁し、今季から飛ばない低反発金属バットに基準が切り替わる。これまで900グラム以下のバットの禁止や飛ばないボールの採用などの変革はあったが、金属バットが導入された1974年以来の大変革。数年たてば選手が対応できるようになり、急激には野球の質は変わらないと主張する指導者もいるが、飛距離が約5メートル減少することで起きる質的変化にいかに対応できるかは喫緊の課題。「打ち合いからスモールベースボールへ」。いち早く〝革命〟に備える県岐阜商の鍛治舎巧監督に、高校野球はどう変わるのか、どう対応に取り組んでいるのかを聞いた。

 【低反発金属バット】2024年の選抜大会、各都道府県の春季大会から採用。日本高野連による導入理由は①打球による負傷事故防止②投手の負担軽減によるけが防止。旧基準との比較はバットがボールに当たる打球部分の口径が67ミリから64ミリ、厚さが3ミリから4ミリ以上。重量は900グラム以上という基準は変わらないため、打球部分が細く肉厚になる。見た目にはそれほど変わらないが、打球初速は3・6%減少するという。芯に当たれば新旧バットはそれほど変わらないが、一般的には飛距離が5メートル減少すると言う。

詰まった打球が野手の頭を越すためインパクトゾーンを長くする打撃が必要

 ―低反発金属バットの感想は。

 鍛治舎 昨年11月、秋季東海大会後に1カ月取り組んでみて、思った以上に飛ばないことがわかった。芯に当たれば、旧バットとそれほど変わらないが、バントや走塁の比重がより高まるスモールベースボールに移行すると直感した。

スモールベースボールへの高校野球革命に備え、紅白戦で選手に対応策を指示する鍛治舎巧監督=県岐阜商高グラウンド

 ―打撃自体に変革が必要ですか。

 鍛治舎 得点力が落ちて1点の比重が重くなりそうだ。より走者を本塁に近づけるためには、右方向へのヒット、進塁打が重要になってくる。...