一緒にピザを作る北村啓太郎さん(右)と高田明浩さん=2016年4月、各務原市鵜沼朝日町の高田さん宅

 2014年2月、小学生将棋名人戦岐阜県大会。3月、東日本大会。4月20日、東京のNHKスタジオで小学生名人戦決勝大会があり、東西代表選手2名ずつが出場しました。

 息子の明浩は、準決勝で勝利し、東京代表の北村啓太郎君(現奨励会三段)と決勝戦で対局しました。息子は惜しくも敗れましたが、中川大輔八段から「小学生名人戦史上に残る熱戦」と評された、手に汗握る熱戦でした。

 対局後、優勝した北村君は優勝カップを、準優勝の息子はトロフィーを持ち、解説の先生方やアナウンサーの方と記念撮影をしました。

 その後のことです。北村君のお母さんが、「一緒に写真を撮りませんか」と声をかけてくださりました。そして、北村君家族と私たち家族、大阪から応援に来てくれていた私の弟が並び、アナウンサーの方に写真を撮ってもらいました。

 その後、北村君のお母さんは、「この後、皆さんで一緒に家に来られませんか」と話されました。さすがに、初対面の方の家に伺うことはちゅうちょしたので、レストランで食事をしました。息子と北村君も初対面でしたが、すぐ仲良くなり、2人で楽しく話していた姿は、今も印象に残っています。

 その後、息子は、夏休みに北村君の家へ行きました。北村君とは、一緒に将棋を指したり、将棋大会や道場へ行ったり、野球や卓球をしたり、ご家族の皆さんと楽しく食事をいただいたりと、とても楽しく過ごしたそうです。

 春休みには、北村君がわが家に来ました。北村君は、息子と名古屋城へ行き、犬山城には私も一緒に行きました。たこ焼きや焼き肉ライスバーガー、ピザを一緒に作ったり、卓球や射的をしたりして、楽しく過ごしていたことを覚えています。

 小学生名人戦の後、2人は奨励会試験に合格し、息子は大阪の関西奨励会に、北村君は東京の関東奨励会に通うことになります。地区が違うため、2人が会う機会はなくなりましたが、共に少しずつ奨励会の階段を昇っていきました。

 その年の小学生名人戦で決勝大会まで残った子たちは現在、北村君を含め、奨励会の三段リーグでしのぎを削っています。

 三段リーグは、40名を超える中、半年で2名しかプロ入りできない過酷なリーグです。しかし、息子と同期の彼らには、なんとかプロ入りしてほしいなと、いつも思います。

 いつの日か、北村君と息子が、プロの舞台で対戦する姿を見るのを心待ちにしています。

(「文聞分」主宰・高田浩史)