岐阜県内で最も有名な難読地名は、岐阜市の「尻毛」ではないでしょうか。ユニークな表記も相まって、さまざまなメディアに何度も登場してきました。

 由来の通説は、湿気を表す「シケ」が音便化したとするものです。また、「シッケ」を「シツ」と「ケ」に分けると、湧き水が出る地を指す「シヅ」と、場所を示す「ケ」が転じたと考えてもいいのかもしれません。一方、当地で伊自良川が馬の尻尾のようにくるりとカーブしていることが由来だと説く話もよく耳にします。「尻毛」の字義と、地勢を結びつけて推測した説だと思われます。

 当地はかつて米や人を運ぶ川渡場で、戦国期には重要な渡河地点と位置付けられていました。周囲には川や湧水、湿地が由来とみられる字(あざ)が多数あります。いずれにせよ、「尻毛」も川や水に起源がある地名だと思われます。

(『角川日本地名大辞典』などを参照)

【答え】しっけ