岐阜県内には植物を由来とする地名が多くあります。当欄ではこれまで苧生茂(おいも)黍生(きびゅう)など、植物が茂っていることを由来とする難読地名も紹介してきました。

 では逆に「植物が茂っていない」ことを示す地名はないのでしょうか。探してみると、ありました。関市の千疋地区の字(あざ)「屼洞」です。現在は緑に覆われていますが、「はげ」の字義そのままの、はげた地域だったとされています。

 しかし、この山紫水明の岐阜県において植物が茂らない地とは、にわかに信じがたいところです。

 「はぎ・はげ」で手がかりを探しました。例えば下呂市の萩原町は植物の「萩が広がる原」という説以外に、「剥(は)がれやすい崩落地形」という説もあるとのこと。「屼洞」は長良川と武儀川の合流点付近にある傾斜地ですし、「剥ぎ洞」が転じたと考えられるのかもしれません。

【答え】はげほら