チェスネットのメンバーとの将棋合宿に参加した高田明浩さん(前列左から2人目)=2017年11月、三重県伊勢市

 2014年5月4日、息子の明浩は、日本アマチュア将棋連盟の全国大会に、小学生では唯一の代表選手(東海地区代表)として出場しました。

 そのとき、将棋コミュニティのチェスネットの方から、「団体戦のメンバーとして、東海リーグに出場しませんか」とお誘いを受けました。息子は、二つ返事で参加を引き受けました。

 息子はそれまで、子どもたちのグループで団体戦に出場したことはありましたが、大人のグループから誘いを受けたのは初めてでした。全国大会は、2勝4敗で予選落ちしましたが、息子は、自分の実力が大人の方からも認められていると知り、とても喜んでいたことを覚えています。

 団体戦当日は、開始時刻の1時間前に栄道場近くの喫茶店でメンバーが集まり、対戦順をみんなで決めたそうです。団体戦のメンバーは、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将と呼ばれます。息子は副将を任されるケースが多かったようです。最上位のA級であったため、思うように結果が出せないこともあり、落胆して帰ってくることもありました。

 とはいえ、リーグ戦の後、みんなで中華を食べに行くなど、皆さんと過ごすのは楽しかったようです。「竹村康正さんは、すごくたくさん食べるよ」などと、よく話してくれました。最終日にリーグ優勝が決まったときは、非常に喜んでいました。

 息子が奨励会に入会すると、団体戦には出場できなくなりましたが、チェスネットの皆さんの将棋合宿には、毎年、指導者として招待されました。

 将棋合宿は、三重県伊勢市の民宿に泊まって将棋をたくさん指し、おいしい海鮮を食べるのが恒例でした。息子はこの将棋合宿が大好きで、よく、「人生で一番楽しいことは伊勢合宿。死ぬまで一日しかないなら、伊勢合宿へ行く」と話していたことが懐かしいです。

 小学生のとき、子ども対象の将棋合宿に参加したこともありましたが、それよりも、この合宿の方が少人数で楽しかったようです。

 人と盤を挟んで指し、会話を交わす。息子はそれが大好きで、今も将棋を続けているのだと思います。

 最近は、将棋を指す人が減っていますが、将棋には、オンラインゲームなどでは味わえない対面の良さがあると感じます。プロは結果が要求される厳しい世界ですが、息子には、これからも、楽しく将棋を指してほしいなと思っています。

(「文聞分」主宰・高田浩史)