春季岐阜県高校野球大会中濃・飛騨地区予選1位決定戦は3月31日、カヤバスタジアムで行われ、東濃実が4―2で帝京大可児を下して1位となった。勝利の瞬間、東濃実ナインの目にも藤井潤作監督の目にも涙があった。選抜21世紀枠東海地区候補校の帝京大可児を昨秋に続いて、接戦で破ったからだけではない。藤井監督が4月1日から鍛治舎巧監督率いる県岐阜商に転任する最後の一日、地区1位になる約束を、教わった〝考える野球〟で成し遂げたからだ。

 ◇エース長谷部虎が立役者 チェンジアップ磨く

 昨秋1位決定戦の3―1と同様、今季も1点を争う展開。2度追いつかれながら、八回に2点を挙げての競り勝ち。勝利の第一の立役者は何と言ってもエース長谷部虎太朗だ。

帝京大可児×東濃実=8回表東濃実2死一、二塁、谷本向志の右前打で勝ち越しの生還を果たす二走日比野朔大=カヤバスタジアム

 「藤井先生との最後を地区1位で飾ろう」。チームの合い言葉を胸にエースは序盤から気合いのこもった投球を繰り広げた。だが、立ちはだかったのが、帝京大可児の投打の大黒柱の3番山田隆太だった。

 初回の第1打席。得点にはつながらなかったが、2死から右越え二塁打。四回の第2打席も先頭で二塁打され、内野ゴロの間に同点の生還を許す。六回の第3打席は1死二塁から左前同点打を打たれた。4度目の対決は2点を勝ち越した直後の八回裏、2死二塁。勝敗を分ける最大のクライマックスは訪れた。

帝京大可児×東濃実=2失点完投で秋に続き、帝京大可児を抑えて地区1位に導いた東濃実のエース長谷部虎太朗=カヤバスタジアム

 「これまでストレートを狙い打たれている」とエース。...