見違えるほど戦力アップを遂げていた岐阜聖徳との3度目の戦いを勝利に導いたのは投手第3の男だった。優勝候補筆頭の県岐阜商は、打線が相手エース松井謙悟の変化球をうちあぐねる中、強打線に進化した岐阜聖徳を5回3安打無失点に封じ込め、エース森厳徳につないで完封リレー。

 森を大会終盤いかに万全な形で投げさせることができるかが今夏最大の課題だった県岐阜商。「一球でも森の投球を少なくしたかった」と思いを語る背番号11のヒーローの好投は、創部100年のメモリアルな夏制覇に大きな意味を持つ。

◇近藤が5回無失点 130キロ後半の直球に切れ抜群のスライダー

 「交流があり、何度も対戦してきた相手と最後に、素晴らしいゲームができた」と試合後、鍛治舎巧監督が感慨深く語るように、両者は昨秋地区準決勝、県大会準々決勝で2度対戦。地区では点の取り合いの末に9―6、県大会は森完封の4―0でいずれも県岐阜商に軍配が上がった。

 県岐阜商が秋に県準優勝、春県優勝でともに東海大会に出場する一方、岐阜聖徳は春は地区予選で敗退。だが、夏本番、別のチームかと思わせるほどの快進撃。1回戦加茂農林を14安打8長打の10―0、2回戦中津川工を12安打5長打の11―0で圧倒。棚橋祐司監督が「就任5年で最強のチーム。うちが勝つことが創部100年のプレゼント」と挑発するほど自信を込めた3度目の対戦。しかも3人が県岐阜商のエース森の中学時代のチームメートでリベンジに燃える思いは倍増。

県岐阜商×岐阜聖徳=5回表、力投する県岐阜商の先発近藤=長良川

 対する鍛治舎監督は先発に森ではなく、今大会初登板の右サイド近藤朝日を送り込むが、これが奏功した。

 「後ろに森も池田(諒真)もいる。思い切って投げる」と近藤。初登板にも臆することはなく、立ち上がりから、持ち味の内角ストレートを投げ込む。...