春と秋は、交通機関のダイヤ変更が集中する時期。岐阜県内では、いくつかのバス路線が9月末で運行を終えます。下呂市金山町のコミュニティーバス「げろバス金山」も、2路線が9月30日限りで運行を終えます。10月からはデマンドバスに全面移行。飛騨地域の南端を走るコミュニティーバスの最後の姿を紹介します。
げろバス金山は、JR高山線の飛騨金山駅を起点に、菅田地区を走る「菅田線」と、東地区を走る「東線」の2路線があります。専用塗装の小型のノンステップバスが走っています。
菅田線は、終点が上袋坂。関市へ通じる県道58号関金山線の、下呂市と加茂郡七宗町の市町境にあるトンネルの手前に回転場があります。平日5往復、土休日4往復が運行されています。
東線は、大半が乙原を終点にしています。濃飛横断道のインターチェンジがある集落です。平日4・5往復、土休日4往復が運行されています。一部に郡上市和良町の方須上(ほうすかみ)を発着する便があり、方須上行きは1本、方須上発は平日2本、土休日1本が設定されています。
東地区は、下呂市では南の方、金山町では北西部にあたる地域です。なぜ「東」地区なのか。昭和の大合併で、昭和30(1955)年に益田郡金山町が発足する前は、東地区は郡上郡東村でした。郡上郡の東にあるので、東村というわけです。
郡上方面とのつながりが今も残ります。逆に、郡上八幡からのバスには、東地区にある祖師野上(そしのかみ)までやってくる便もあります。
いずれも、金山町の中心部では複数の経路があります。市立金山病院やスーパーマーケットを経由するかどうかの違いです。
なぜ「げろバス金山」は運行を終えるのでしょうか。下呂市の担当者によると、運行する濃飛バスから、ドライバーの確保が難しく、撤退の申し入れがあったといいます。
金山町では、以前からデマンドバス「デマンド金山」が走っています。
デマンドバスは、事前の予約に応じバスを運行する形態。定時定路線方式の路線バス(コミュニティーバス含む)と比べ、多くの停留所を設定した上で、効率的な運行をすることができます。
「デマンド金山」は、ワゴン車型の車両で運行しています。これを拡充して、コミュニティーバスの「げろバス金山」を完全に置き換えます。
デマンドバスは、下呂市内でタクシーを運行する事業者・ライドシステムズが運行します。タクシーのドライバーも人数が限られる中で、コミュニティーバスを代替できるダイヤを組みました。
祖師野、乙原方面の東地区はデマンド金山の北回り、菅田地区は南回りがカバーします。北回りは平日6往復、土曜は3往復を設定。南回りは平日5往復、土曜は3往復を設定しています。
さらに、デマンドバスながら予約不要で利用できる市街地循環線も10月から新設。平日のみの6便の運行で、商店街や病院などをカバーします。
自身で車の運転ができない高齢者だけでなく、近年は工場などの事業所の外国人従業員が出かけるのにも利用されているそう。市の担当者は「デマンドバスは事前に予約してもらわないといけないが、工夫して足を確保した」と話しています。
げろバス金山は、旧金山町の頃から走ってきました。どのような路線なのか、実際に乗りました。
まずは東線から。乗ったのは午後0時15分発の方須上行き。郡上市和良町まで行く便です。...