世間一般では「バスはみんな同じようなものじゃない?」と思われているのでは。しかし、よく見てみると、1台1台違った個性を持っています。そんなバス車両に魅せられた人たちが、岐阜県土岐市に集まりました。岐阜県の東濃地域を中心に路線バスを運行する東濃鉄道は今年、設立80周年。9月7日に開いたファンフェスタでは、有料のバス撮影会が行われ、多くのバス愛好家が集まりました。(広瀬丈士)

撮影会の前半に集まったバス7台

 撮影会には、8社計10台のバスが参加しました。東鉄からは次の3台が参加しました。
・多治見市周辺の路線バスで走る601号車
・名古屋への都市間高速バスで走る1501号車
・高速バスの中央ライナー可児、ドリーム可児号で走る1653号車

 各社の特徴あるバスや、一般利用者が乗ることができないバスもやってきました。

撮影会の後半に集まったバス6台

 ファンフェスタの会場は土岐市のイオンモール土岐ですが、撮影会の会場へは、ここからバスで移動します。

 受付を済ませた70人ほどの参加者は、撮影会にも使う1501号車と1653号車の2台に分乗します。私は1653号車のお世話になりました。

 およそ20分かけて撮影会の会場に着くと、すでに数台のバスが並んでいました。

撮影会に登場した東濃鉄道のバス3台。右から601号車、1501号車、1653号車

 撮影会の会場は、土岐市駄知町にあった東濃鉄道の旧土岐営業所跡でした。東濃鉄道に鉄道線があったことを色濃く残す場所です。

 駄知線の駄知駅の跡地で、1974年の廃線後に駅の敷地はバス営業所に転用されました。営業所の統合や路線の改変により、今は使われていません。

 構内に残る車庫は、電車の車庫を転用したもので、一部に当時のレールが埋まっています。

かつての電車の車庫の中には、今もレールが残っている

 撮影会は、間に休憩時間をはさみ、午前と午後で車両を入れ替えて行われました。

 午前と午後では、車両の向きが東西で入れ替わっていました。太陽は、東から昇り西に沈みます。どの時間帯も、順光で撮影できるような配置となっていました。

 各車両を単体で撮るほか、車種ごとの並びを撮ったり、全車の集合写真を撮ったり。そのたびに、バスの停車位置を微調整していきます。

 

 皆さん、お気に入りの構図を探しながら、熱心にカメラを向けています。正直、話している隙もあまりなかったのですが、参加者に話を聞いてみました。

 大垣市の10代男子大学生は「普段並ぶことのないバスが並び、圧倒された。濃飛バスの2404号車を見たかった」と笑顔。「会社ごとだけでなく、車両1台ずつにも細かい違いがある」とバスの魅力を話します。

同一車種でも、導入時期や事業者により姿は異なる。3社のふそうエアロスターが顔を合わせた。右から東鉄バス、北恵那交通、知多バス

 東海地方在住の30代男性は「事業者により仕様や装備が違う。その違いが楽しい」と、バス車両の魅力を教えてくれました。今回参加していない事業者のバス運転士で「他社の取り組みの勉強になった。ドライバーが不足し、利用客も減少している中で、バスの存在を外部にアピールすることが大切」と話していました。

どのようなバスが参加したのか、記事の後半で紹介します。

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