多彩な手作り絵本を制作した1年生。来年春に福島県に贈られる=大垣市美和町、大垣東高校
手作り絵本の1ページ。飛び出す仕掛けは子どもたちに人気だ=大垣市美和町、大垣東高校

 東日本大震災で被災した福島県に手作りの絵本を贈る活動を続ける大垣東高校(岐阜県大垣市美和町)に、絵本を偶然手に取った女性からお礼の手紙が届いた。新型コロナウイルスの影響で生徒が福島県を訪問できない中での思わぬ感謝の手紙に、美術の授業で絵本作りを指導する非常勤講師の金田典子さんは「今年も福島県に行けないと残念に思っていたところで届いた。絵本が思いを伝え、向こうで活躍してくれていた」と喜ぶ。

 大垣東高校は震災が発生した2011年から、生徒が美術の授業で制作した絵本を福島県内の保育園や児童施設に贈っている。13年からは生徒有志が現地を訪れ、読み聞かせや震災の体験を聞く活動にも取り組んできた。

 手紙は福島県相馬市の女性が昨年末に送ったもの。相馬市は生徒が訪問し読み聞かせなどをした場所で、市内の施設にも絵本が置かれている。女性の孫が手に取った絵本に、校名や制作した生徒の名前が書かれていたため手紙を送ったと書かれていた。絵本が丁寧に作られていることや、被災地への思いやりがあふれていることへの感謝の気持ちがつづられ、自身や家族の被災体験にも触れられていた。

 金田さんは毎年、生徒たちに被災地の映像やこれまでの活動を伝えており、今年は女性の手紙も紹介。先輩が手作りした絵本が、福島県で大切にされていることを生徒に語った。

 今月は、1年生が制作した絵本76冊が完成。オリジナルのストーリーに、鮮やかな色使いや貼り絵、飛び出す仕掛けと、子どもを引き付ける要素を詰め込んだ多彩な絵本がそろった。男子生徒(16)は「震災当時のことはあまり覚えていないが、ずっと続いてきた活動に関われた。機会があれば福島県にも行ってみたい」と話す。

 コロナ禍で20年春から福島県への訪問は途絶えているが、交流を続けてきた福島県の関係者は再訪を心待ちにしているという。「活動も手紙も、手作りの思いが伝わりつながった縁」と金田さん。来年は、新しい絵本を携えて訪問できることを願っている。