―昨年の振り返りを。

 県内で初めて鉄リサイクル業を始めたスクラップ業者として、地域で発生した金属の収集・運搬・選別・加工を担っています。昨年はスクラップ価格の下落や市中・工場発生スクラップの減少を背景に、業績が伸びませんでした。その中で、人員配置を見直し業務効率化に努めたり、金属成分分析機の導入による高付加価値な選別を実現したりと、業務改善に注力しました。また、一般企業並みの従業員の賃上げを行ったほか、約20年ぶりに社員旅行を再開するなど、従業員の待遇改善・福利厚生の充実にも尽力しました。

 ―新たに取り組んだことは。

 当社の事業を幅広い人に知ってもらおうと、昨年の夏、地域の小学生を招いた社会見学を実施しました。今後もこうした機会を通じ、鉄という身近な素材がリサイクルされていることや、その一端を担う企業が地元にあることを知っていただければと考えています。

 ―特に力を入れていることは。

 近年、廃棄物の運搬や収集の無許可業者が増加、不法投棄や不適正な処理・管理による火災も発生しています。そこで、同業者とポスターや小冊子を作成し、行政に条例制定を求めたり、お客さまに無許可の回収業者を利用しないことなどを啓発する活動を行っています。啓発を通じてリサイクルに対する正しい理解を持ってもらい、地域資源の適切な循環を促していきます。

 ―2025年の抱負を。

 県内で進む工業団地の整備や大型工場の建設、さらには都市開発の進展により、大量の金属廃棄物が発生することが予想されます。この状況に対応するため、金属廃棄物の回収体制を一層強化し、地域内での金属資源の循環を推進する取り組みを進めていきます。これにより、廃棄物の適正処理と資源の有効活用を図るだけでなく、地域全体の環境負荷低減と持続可能な社会の実現に寄与したいと考えています。