エスカレーターの安全な使い方が定着するチャンスかも―。大阪・関西万博の会場シンボル「大屋根リング」と地上を結ぶエスカレーターでは誰もが2列に並ぶ。日本では先を急ぐ人のために片側を空ける習慣は1970年大阪万博の数年前に大阪で生まれた。最近になり、立ち止まって2列での利用が呼びかけられるようになったものの浸透は道半ば。識者は「片側空けは、心にゆとりがなかった時代の置き土産。万博がやめるきっかけになれば良い」と期待を寄せる。
1周約2キロのリングは高さが最大約20メートルあり、上からは大阪湾や会場が一望できる。エレベーターのほか、計9本のエスカレーターが設けられている。小学生らが多く訪れた4月22日は上下とも混雑したが、歩いて上り下りする人の姿は皆無だった。
エスカレーターの歴史に詳しい江戸川大名誉教授斗鬼正一さん(74)によると、エスカレーターは1900年パリ万博に「新たな技術」として出展された。日本では67年ごろ、現在の阪急電鉄の呼びかけをきっかけに「片側空け」が生まれた。