開示命令が出た文書を手に、記者会見する小西洋之参院議員=16日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

 菅義偉元首相が日本学術会議会員の任命を拒否した問題で、首相が拒否できるとの法解釈に至った文書の一部が開示されなかったのは不当だとして、立憲民主党の小西洋之参院議員が不開示処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁(篠田賢治裁判長)は16日、不開示は違法として国に開示を命じた。「公にすることで得られる公益性は極めて大きい」と判断した。

 東京都内で記者会見した小西氏は「法治国家を守り抜く判決を出してくれた」と評価。開示命令によって、内閣法制局が恣意的に法解釈を変更した過程が分かる可能性があると述べた。

 判決によると、小西氏は2021年、首相は任命を拒否できるとした法解釈を巡り、内閣府の日本学術会議事務局が内閣法制局に提出した文書を開示請求したが、一部が黒塗りとされた。内閣府は理由を「意思決定の中立性が不当に損なわれる」などと説明した。

 地裁は、過去の国会答弁などで「政府は形式的任命を行うに過ぎず、拒否しない」としていた運用が変わった経緯や理由は、国民に明らかにされるべきだと指摘した。