記者会見する農林中央金庫の北林太郎理事長=22日、東京都千代田区

 農林中央金庫(農林中金)が22日発表した2025年3月期連結決算の純損益は1兆8078億円の赤字(前期は636億円の黒字)となった。含み損を抱える外国債券などの処理を進めたため。26年3月期の純損益は300億〜700億円程度の黒字に転換する見通しを示した。

 農林中金として過去最大の赤字額。22日に都内で記者会見をした北林太郎理事長は「多額の赤字計上を重く受け止めている」と述べ、収益力の向上を目指す考えを示した。

 農林中金は、欧米の中央銀行が22年ごろから急ピッチで利上げを進めたことで、過去に購入した債券の価格が下落。含み損を抱えた資産を売却したことで、多額の損失を計上することになった。

 農林中金によると、25年3月までに欧米の債券など低利回り資産17兆3千億円を売却。運用する株や債券など有価証券の含み損は23年9月時点の2兆5356億円から、25年3月までに5500億円まで圧縮した。

 巨額赤字を受け、農林中金は1兆4千億円規模の資本増強や、投資先を分散させる運用体制の見直しを実施している。