衆院厚生労働委員会は30日、年金制度改革法案を自民、公明、立憲民主3党の賛成多数で可決した。3党は、基礎年金(国民年金)底上げの将来的な実施を付則に明記する修正案を共同提出しており、3党の修正案も可決された。午後の本会議採決を経て衆院を通過し、今国会で成立する見通しだ。
厚労委に出席した石破茂首相は質疑で、修正案の実現によって「将来の幅広い世代の給付水準を確保できる」と述べた。底上げの効果や趣旨を「丁寧に説明していく」とした。厚労委での採決前の討論で国民民主党の浅野哲氏は、底上げに伴う国費の財源確保策が示されていないとして「不十分な内容と言わざるを得ない」と批判した。
厚労委に先立つ理事会で与党が30日の委員会採決を改めて提案。国民民主党などが反対して意見が割れたが、藤丸敏委員長(自民)が職権で採決を決めた。
底上げは、就職氷河期世代などが低年金に陥るのを防ぐ対策の一環。修正案では、2029年に行う年金の「財政検証」で基礎年金の給付水準低下が見込まれる場合に、底上げする。