文化庁は重要無形文化財の制度を約50年ぶりに見直し、料理人や杜氏といった食文化に関わる人々を人間国宝に認定できるようにする方針だ。現行では「芸能」と「工芸技術」に限られている対象分野に、食などの生活文化を追加。優れた技能者を支援して技術を保護し、後世につなげる狙いで、認定基準を定めた告示を2025年度中にも改正する。
重要無形文化財は、歴史や芸術の観点から価値が高い無形の「わざ」を国が指定し、わざを高度に体現する個人や団体を認定、支援する制度で、人間国宝は認定された個人の通称。現行制度は能楽や歌舞伎などの芸能分野と、陶芸や染織などの工芸技術分野のみで、料理人らは認定できない。
「和食」や「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録され、日本の食文化に国内外から注目が集まる。一方、郷土料理や地酒といった伝統的な食文化は、生活様式の変化や過疎化、人口減に伴う売り上げ減や担い手不足といった課題に直面する。
重要無形文化財の指定・認定に関する基準を改正し「生活文化」の分野を追加する。