これまでラグビーボール形だと考えられてきた原子核が実際にはアーモンドのようにつぶれた形をしていることを理論的な計算で明らかにしたと、理化学研究所の大塚孝治客員主管研究員らの研究チームが2日、国際専門誌に発表した。70年来の定説を覆す成果で、新しい元素の発見に役立つとしている。
陽子と中性子が集まった原子核のうち、重い原子核の大半は、球形ではなく楕円体に変形している。多くはラグビーボールのように細長く断面が円になる形をしていると1950年代から考えられてきたが、明確な証拠はなかった。
チームは、陽子と中性子の間に働く特殊な力などに注目。原子核が持つエネルギーを計算し、断面が楕円になるアーモンドのような形の方が安定していることを示した。スーパーコンピューター「富岳」を使ったシミュレーションでもこの考え方が裏付けられた。
うまく説明できなかった現象もアーモンド形だとつじつまが合うとして、大塚さんは「教科書を書き換える成果だ」と強調した。