【北京共同】中国は4日、共産党・政府が学生らの民主化運動を武力弾圧した1989年の天安門事件から36年を迎えた。国家安全を重視する習近平指導部は事件を「動乱」とみなし弾圧を正当化。遺族の会「天安門の母」は計108人が署名した声明を発表し、公正な調査に基づく犠牲者数の公表や責任追及、遺族との対話による問題解決を政府に要求した。
中国当局は追悼や抗議活動を抑え込むため厳戒態勢を敷いた。現場となった北京中心部の天安門広場や付近の大通り沿いには4日早朝から警察官やパトカーが多数配備され、不審な動きがないか目を光らせた。
遺族の会創設者の一人、張先玲さん(87)は5月上旬、取材に応じ、事件で息子王楠さん=当時(19)=を亡くした心の痛みや傷が癒えることはないと心境を吐露した。中国当局が「国家権力を動員して市民を銃で殺した」と憤り、真実に向き合うべきだと語気を強めた。
中国政府は、習国家主席が提唱した国家安全をあらゆる分野で重視する「総体国家安全観」を重大な戦略思想と位置付ける。