ガザ人道支援を巡る決議案に反対し、拒否権を行使する米国のシェイ国連臨時代理大使(中央)=4日、米ニューヨークの国連本部(共同)
 米ニューヨークの国連本部を彩る万国旗

 【ニューヨーク、エルサレム共同】国連安全保障理事会(15カ国)は4日、深刻な人道危機が続くパレスチナ自治区ガザへの人道支援の制限解除をイスラエルに求めた決議案を否決した。ロシアなど14カ国は賛成したが、イスラエルを擁護する常任理事国の米国が拒否権を行使した。イスラエル批判を強める国際社会からトランプ政権への非難が出るのは必至だ。

 1月にトランプ政権が発足して以降、米国が安保理で拒否権を行使するのは初めて。2023年10月のガザ戦闘開始後、ガザを巡る決議案への米国の拒否権行使は修正案も含め6回目となる。

 米国のシェイ国連臨時代理大使は、ハマスがガザに搬入された支援物資を奪取してきたと指摘。米国とイスラエルの主導で設立した団体を通じた物資配給が適切だと主張した。

 決議案に賛成した14カ国は失望や遺憾の意を表明。アルジェリアのベンジャマ国連大使は「阻止された決議案は全世界の意見だ」と訴えた。決議案はイスラエル軍とハマスの双方に即時かつ無条件の停戦を要求し、ハマスには拘束する人質の即時解放も求めていた。