南海トラフ巨大地震による大津波に備え、浜松市沿岸部に整備された防潮堤=3月

 政府は、3月に発表した南海トラフ巨大地震の被害想定で最大29万8千人とした死者数に関し、今後10年間でおおむね8割減とする目標を設定する方針を固めた。政府、与党関係者が10日明らかにした。全壊焼失建物数も想定で示した最大約235万棟からおおむね5割減を目指す。

 南海トラフ巨大地震の「防災対策推進基本計画」におおむね10年間で完遂すべき重点施策とともに目標を盛り込む。10日の自民党の関連部会で計画の改定案を示して了承された。7月初旬までに中央防災会議を開き、正式決定する予定だ。被害が想定される自治体には、地域での対策を定めた推進計画の改定作業を呼びかける。

 2014年に策定した現行計画は、死者数を33万2千人と想定した上で「おおむね8割減」とする目標を掲げていた。だが対策は十分進まず、今年3月の被害想定では、死者数は微減にとどまった。全壊棟数は250万棟から5割減と設定していたが、こちらも届かなかった。