音は聞こえているが脳で言語として認識できない障害「聞き取り困難症(LiD=リッド)」について、子どもたちに聞き取り補助具を無償貸与し効果を調べる研究を、堺市や大阪公立大などのチームが17日までに始めた。当事者団体によると、自治体と共同で行う調査は全国初。市内の小中学生を3年間追跡して調査する。
補助具の購入を巡っては、会話が難しいほどの重い難聴者には国の費用補助があるが、LiDは聴力検査では異常が見つからないため対象外。計約30万円が自己負担となっている。チームは効果を調べ「行政による補助制度などの支援につなげたい」としている。
LiDは聞き取り困難を意味する英語「リスニング・ディフィカルティーズ」の頭文字で、国内の診断手引が昨年発表されたばかり。騒音下や早口、複数人での会話などで聞き取りが難しい。
市によると、対象となるのは医師にLiDと診断を受けた子ども約20人。耳に着けるイヤホンと、話し手が着けるマイクを貸し出す。