「ご心労、ご負担をかけた」との言葉に理解は得られなかった。警視庁と東京地検が20日、冤罪で不当に身柄を拘束された「大川原化工機」社長らに初めて謝罪した。ただ、社長らが求め続ける検証に関し、具体的な説明はないまま。再発防止に取り組むとする両組織に向けられた視線は厳しかった。

 非公開の面談後、大川原正明社長(76)らは記者会見で、第三者を含めての検証を強く求めたが、明確な返答はなかったと明かした。社長は「具体的なものを示してほしかった」と不満を口にした。

 この日、同社には勾留停止中に72歳で亡くなった相嶋静夫さんの遺族の姿はなかった。会社側代理人の高田剛弁護士が公表した書面からは、長い間違法捜査を認めてこなかった両組織への怒りがあらわに。「犯罪の構成要件を満たさないことを知りながら身柄を拘束したことに謝罪してほしい」と訴えた。

 謝罪の場では、警視庁幹部が元取締役の島田順司さん(72)の名前を「ヤマモト様」と、東京地検幹部が社名を「大川原化工機コウギョウ」と言い間違える場面も。報道陣から間違いを指摘され、2人はそれぞれ「申し訳ございません」と重ねて陳謝した。