【ロンドン共同】英下院は20日、終末期の成人患者が安楽死を選ぶ権利を認める法案を採決し、賛成多数で可決した。上院での審議に移り、法制化に近づいた。欧米では安楽死の法制化の動きが進んでおり、最新の世論調査によると英国でも国民の7割以上が法案を支持している。
定数650の下院は2015年に同様の法案を否決したが、今回の採決結果は賛成314、反対291だった。上院を通過後、チャールズ国王の裁可を経て成立する見通し。下院は昨年11月にいったん法案を可決した後、委員会が内容を精査。下院で改めて審議した上で、この日に2回目の採決に臨んだ。
調査会社ユーガブの最新世論調査によると英国では73%が法案を支持し、不支持は16%。だが法制化すれば、介護や経済的な負担を恐れ、死を選ぶべきだと高齢者や障害者らに感じさせることになるとの懸念も根強い。
法案はイングランドとウェールズが対象。余命6カ月未満の患者が医師2人のほか、精神科医、福祉や法律の専門家らの承認を得た上で、医学的な助けを借りて自ら命を終わらせることを認める内容だ。