沖縄県は23日、太平洋戦争末期の沖縄戦で亡くなった日米双方の20万人超を悼む「慰霊の日」を迎えた。旧日本軍による組織的戦闘が終わった日とされ、今年で80年。最後の激戦地だった糸満市摩文仁の平和祈念公園で、恒久平和を誓う沖縄全戦没者追悼式が営まれる。玉城デニー知事や石破茂首相らが参列。

 世界は中東情勢の悪化やロシアのウクライナ侵攻などで緊迫する。沖縄では米軍基地の集中による重い負担が続いたまま、政府は台湾や尖閣諸島を巡る緊張を背景に南西諸島で防衛力を強化。県民の不安感は根強い。

 昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会の田中重光代表委員と、国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長も招かれた。

 国籍や軍民を問わず、戦没者の名前を刻んだ公園内の石碑「平和の礎」は1995年の設置から今年で30年。新たに342人が追加され、計24万2567人となった。

 沖縄では住民を巻き込む苛烈な地上戦で、県民の4人に1人が命を落とした。1972年まで米統治下に置かれ、次々と基地を建設された。現在も国内の米軍専用施設の約7割が集中する。