白鶴酒造の加工用米=神戸市東灘区
 白鶴酒造の醸造施設で貯蔵されている加工用米=神戸市東灘区

 酒蔵が日本酒の原料となるコメの値上げに圧迫されている。主食用米の高騰に伴い、加工用米の仕入れ価格が上昇。加工用米から主食用米の生産に転換する動きもあり、供給不足やさらなる高騰への懸念も強まっている。日本酒の値上げが相次ぎ、関係者からは「企業努力だけでは解決できない」と悲鳴が上がる。

 日本酒に使われるコメは主に、主食用と同じうるち米の加工用米と、酒造により適した酒米がある。白鶴酒造(神戸市)では、主力商品の「白鶴」や「まる」などに使う2024年産加工用米の仕入れ価格が前年比で2割程度上昇した。人件費や瓶など資材価格の上昇も重なり、10月から日本酒約140品目の値上げを決定。日本盛(兵庫県西宮市)も10月から値上げする。

 25年産の仕入れ価格は24年産の約2倍に跳ね上がる見込みで、白鶴酒造の水谷仁生産本部長は「コメ高騰は死活問題」と話した。

 高価格帯の日本酒に使われる酒米は、栽培が難しく収量も少ないため高値で取引されてきた。ただ主食用米の値上がりで価格差が縮小し、主食用米の生産を優先する農家も少なくない。