【ソウル共同】長崎県対馬市の観音寺から2012年に盗まれ、韓国から今年5月に返還された県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」を巡り、3D計測した仏像のデータを同寺が韓国側に提供する方向で調整していることが24日、関係者の話で分かった。像は14世紀に朝鮮半島で作られたとされ、所有権を主張してきた韓国中部瑞山市の浮石寺が、今後のレプリカ制作などを念頭にデジタルデータ化を求めていた。
予算の問題もあり、求めに応じるか否か観音寺が判断に苦慮する中、対馬市出身で3D計測を手がける大阪府の企業の社長が「故郷に貢献したい」と無償でのデータ化を市に申し出た。本来数十万円かかるという。
韓国側の要望は知らず、文化財保全のための提案だったが、話を聞いた観音寺の田中節孝前住職は「渡りに船だ」と歓迎。日韓双方でデータを活用する方向へ話が進んだ。27日に計測し、7月初旬に田中氏が訪韓して記録媒体を手渡す予定。
計測を申し出た「クモノスコーポレーション」(大阪府箕面市)の中庭和秀社長は「対馬と韓国の関係発展につながれば」と話した。