東芝の子会社「東芝デジタルソリューションズ」(川崎市)の社員で2019年に過労自殺した安部真生さん=当時(30)=の両親が、再発防止に向けた同社の姿勢を前向きに評価し、22年の和解時の約束だった定期的な報告を24年で終結させたことが5日、分かった。「息子を失った傷は癒えないが、心は救われた」。労災の責任を認めない企業が少なくない中、遺族と対話し、職場を改善していくモデルケースになるよう願う。
システムエンジニアだった真生さんは19年11月に亡くなった。厚生労働省発注のシステム開発を担って多忙を極め、直前の1カ月間の時間外労働は103時間に達した。
両親によると、同社の当初の対応は、事務的に思えた。だが死後1年ほどしてから、社長や役員、真生さんの上司や同僚と直接話す機会が設けられた。謝罪も受け、誠意を感じる対応に変わっていったという。
22年5月、裁判外で和解。同社から最低3年は再発防止に向けた状況を対面で報告してもらい、不十分であればさらに2年続けることを条件とした。