宮内庁正倉院事務所で行われた蘭奢待の調査=2024年10月、奈良市(同事務所提供)

 正倉院に伝わる宝物で、織田信長らが一部を切り取ったとされる香木「黄熟香」(蘭奢待)の伐採年代は放射性炭素年代測定で8世紀後半〜9世紀末ごろと分かり、宮内庁正倉院事務所(奈良市)が8日発表した。香りには古代から香料などに使われ、甘く、スパイシーな匂いの「ラブダナム」に似た成分も含まれていたことが分かった。

 蘭奢待は長さ1・56メートル、重さ11・6キロ。正倉院宝物となった時期は不明。東大寺の大仏開眼供養(752年)のために持ち込まれたとする説もあったが、ややずれることになり、同事務所は「歴史的には謎が深まったが、香りの記録が取れたのは大きな成果」としている。