陸上自衛隊の佐賀駐屯地に着陸する輸送機V22オスプレイ。奥は有明海=9日午前、佐賀市(共同通信社ヘリから)

 陸上自衛隊の輸送機V22オスプレイの佐賀駐屯地への配備が9日、始まった。厳しい日差しが照りつける中、反対する住民ら100人余りが朝から駐屯地正門前に集まり「戦争のためのオスプレイはいらない」と、流れる汗をぬぐいつつシュプレヒコール。事故の危険や騒音、駐屯地の排水による漁業への影響を懸念する声も上がった。

 午前10時20分ごろ、腹に響く重低音を夏空にとどろかせながら、プロペラを上に向けた灰色の機体が近づいてくる。「配備反対」などと大書された色とりどりの旗やプラカードを掲げる人たちの眼前で、ゆっくりと滑走路に降り立った。

 「役立たずのオスプレイは即帰れ」。10年以上抗議活動を続ける佐賀市のノリ漁師古賀初次さん(76)は目を潤ませ、駐屯地に向かって叫んだ。終始険しい顔で「悔しい。有明海の漁場と住民の安全はどうなってしまうのか」と訴えた。

 駐屯地に近い福岡県みやま市の荒川美紀子さん(75)は「オスプレイは戦争の道具。子や孫の世代に、戦争はいけないと伝えるために来た」と力を込めて話した。