スパイ罪で起訴された日本人男性の判決公判が開かれた北京市の第2中級人民法院前で撮影を阻止する警察官=16日(共同)
 取材対応する金杉憲治駐中国大使=16日、北京(共同)

 【北京共同】中国北京市の第2中級人民法院(地裁)は16日、北京で拘束されスパイ罪で起訴されたアステラス製薬の日本人男性社員に懲役3年6月の実刑判決を言い渡した。男性が「スパイ活動を行った」と認定した。在中国日本大使館が明らかにした。有罪判決が言い渡されたことで、人的交流や日本企業の投資など日中関係に影響を与えるのは必至だ。

 判決公判を傍聴した金杉憲治駐中国大使は記者団に「このような有罪判決が出され、極めて遺憾だ」と表明。「早期釈放を求め、男性の支援を行っていく」と語った。日本政府は首脳レベルで男性を含む拘束された邦人の解放を中国に求めてきた。アステラスの広報担当者は、判決言い渡しを受け「報道は承知しているがコメントは差し控える」と話した。

 男性は60代でアステラスの現地法人幹部を務めていた。中国に進出する日系企業でつくる中国日本商会の要職に就いた経験もある。2023年3月に拘束され、昨年8月に起訴。同11月に初公判が開かれた。具体的な起訴内容は明らかにされていない。