1986年に福井市で中学3年の女子生徒が殺害された事件の裁判をやり直す再審公判で、名古屋高裁金沢支部(増田啓祐裁判長)は18日、殺人罪に問われ、懲役7年が確定して服役した前川彰司さん(60)を無罪とする判決を言い渡した。検察は初公判で改めて有罪を主張したが、新たな証拠を出さず、無罪が確実視されていた。
前川さんは1990年に一審で無罪判決を受けたが、二審で逆転有罪となり、その後確定した。第1次再審請求で高裁金沢支部は2011年、再審開始決定を認めたが、検察の異議申し立てを受け名古屋高裁が2013年に取り消した。
指紋など、前川さんが犯人だと示す直接的な証拠はなく「事件後、服に血が付いているのを見た」といった知人らの証言で有罪が確定。証言の信用性が争われてきた。
昨年10月の再審開始決定は警察が知人らを誘導した疑いがあり、検察も証言に一部誤りがあることを隠していたと指摘。検察は異議を申し立てず、最初の再審請求から20年以上を経て再審開始が決まった。