首相官邸に運び込まれた福島第1原発事故に伴う除染土=19日午前
 首相官邸に運び込まれた福島第1原発事故に伴う除染土=19日午前

 環境省は19日、東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の除染で発生し、中間貯蔵施設(同県大熊町、双葉町)で保管してきた土を再利用するため、東京・永田町の首相官邸の前庭に運び込んだ。法律で約束する福島県外での最終処分の実現に向け国民の理解醸成を狙う。県内での実証事業を除き再利用は初めて。

 環境省によると、官邸で再利用する除染土は約2立方メートル。前庭に60センチほどの高さに積み、普通の土をかぶせた上で表面に芝生を張る計画だ。放射線量のモニタリング方法を検討している。

 中間貯蔵施設には除染で出た土や廃棄物が約1410万立方メートル搬入された。法律には搬入開始から30年の2045年3月までに県外で最終処分すると明記している。国は処分量を減らして受け入れ先を見つけようと、放射性物質濃度が比較的低い土を公共工事などで再利用する方針。ロードマップ(工程表)を策定し、処分場候補地を選定する条件を具体化させる。