今大会屈指の右腕同士のハイレベルな投手戦を制したのは、プロ注目の完成度の高い投球に徹しきった帝京大可児・富田櫂成だった。第107回全国高校野球選手権第7日は21日、ぎふしん長良川球場など4会場で3回戦を行い、ベスト8が出そろった。注目の第2シード帝京大可児と選抜出場校の大垣日大との一戦は劇的な九回サヨナラの1―0で帝京大可児が制した。県岐阜商は逆方向への打撃を徹底し、10―1の七回コールドで池田を圧倒した。多治見工は連覇を狙った第1シードの岐阜城北を青木崇監督の戦術で1―0で撃破した。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

帝京大可児×大垣日大=7回表、力投する帝京大可児のエース富田=長良川

帝京大可児×大垣日大=8回裏、力投する大垣日大のエース中野=長良川

 ◆序盤は球速抑え、中盤からギアチェンジ 富田圧巻投球

 帝京大可児の富田、大垣日大の中野翔真の互いに一歩もひけをとらない投手戦。序盤三回までは、毎回安打で走者を出した2季連続の甲子園を狙う大垣日大が押し気味に見えた。だが、1点を争う終盤勝負を見据えた富田のプラン通りの投球だった。

 今大会初戦の富田戦で、球が浮き気味で四回までに2失点し、味方に逆転してもらった反省から、「コントロール重視で130キロ台でコーナーに投げ込む」を序盤のテーマに据えた。

 対する大垣日大は春の県大会で敗れた経験を生かし、まっすぐを捨ててスライダーを狙う戦術に出てきた。

 1巡目に打たれた初回の2番山﨑智貴、二回の6番貝原大馳の中前打はいずれもスライダー。だが、ストレートを抑え気味ながらもコースに投げ込む富田の投球に加え、守備陣の好守もあり、得点に至らなかった。

 投手戦に持ち込みたい帝京大可児の田口聖記監督、序盤に得点を重ねて接戦を避けたい大垣日大高橋正明監督。しかし両者の思惑は接戦の展開となったことで、次第に帝京大可児ペースの試合になっていく。...