原爆資料館を見学するノーベル賞委員会のフリードネス委員長(中央)=22日午後、広島市中区

 来日しているノーベル賞委員会のフリードネス委員長は22日、広島市を訪れて原爆資料館を見学した。記者団の取材に応じ「核兵器は二度と使われてはならないという『核のタブー』は容易に壊れる。広島だけでなく世界に広げないといけない」と語った。

 フリードネス氏は見学後、芳名録に「痛みを希望に変え、記憶を平和への力に変えた全ての人々に敬意を表する」と記帳した。

 昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表委員箕牧智之さん(83)ら被爆者や、核兵器廃絶運動に取り組む地元の関係者と懇談した。

 懇談は冒頭のみ公開。参加者によると、フリードネス氏は被爆体験の伝承活動について聞き「語り継ぐ大切さを痛感した」と話したという。箕牧さんは面会で背中を押されたと感じたとして「高齢になっても諦めず頑張りたい」と語った。

 資料館訪問に先立って広島市役所を訪れ、松井一実市長とも面会した。

 21日に来日したフリードネス氏は、広島の後に長崎も訪れる予定。27日に東京で開かれる核軍縮イベントに出席する。