東京電力福島第1原発事故で避難生活を余儀なくされ、平穏な生活を送れなくなったとして、福島県双葉町の井戸川克隆前町長(79)が国と東電に計約7億5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(阿部雅彦裁判長)は30日、東電に約1億円を賠償するよう命じた。国に対する請求は棄却した。
井戸川氏は2013年まで双葉町長を務め、15年に提訴した。訴状によると、国と東電は地震や津波の危険性を認識しながら対策を取らず、情報提供も不十分で、町長として対応を強いられ精神的苦痛を受けたと主張している。
同種訴訟では、22年6月の最高裁判決以降、東電だけに賠償を命じる司法判断が続いている。