容疑者や被告が公開の法廷で自分の身柄拘束の理由を裁判官から直接聞ける「勾留理由開示」の実施が低迷している。6月に公表された2024年司法統計によると、全国での実施件数は469件で、勾留された人のうち実施率は0・5%に満たなかった。
近年はほぼ同じ割合で推移しており、本来は憲法が保障する容疑者らの権利だが、形骸化して弁護側も敬遠しているのが実情だ。制度が浸透すれば、否認するほど身柄拘束が長引く「人質司法」の改善につながるとして、積極的な活用を呼びかける動きも出ている。
憲法34条は「何人も、正当な理由がなければ拘禁されず、要求があれば、その理由は直ちに本人および弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない」と定める。この条文に基づき、本人や弁護人らは理由の開示を請求できる。
ただ、実際はあまり利用されていない。15年以降の司法統計によると、毎年の実施件数は404〜578件。勾留状は年間10万件前後発付されており、実施率は0・5%ほどで推移している。