大分県宇佐市で起きた強盗殺人事件の控訴審判決が言い渡された福岡高裁の法廷=5日午後

 大分県宇佐市で2020年、住宅に侵入し女性=当時(79)=と長男=同(51)=を殺害し現金を奪ったとして、強盗殺人罪などに問われた佐藤翔一被告(40)の控訴審判決で、福岡高裁は5日、死刑とした一審大分地裁の裁判員裁判判決を支持し、弁護側の控訴を棄却した。無罪主張を退けた一審判決は不合理ではないとし「刑事責任は極めて重大で、極刑はやむを得ない」と断じた。

 事実誤認だとして控訴していた弁護側は、最高裁に即日上告した。

 平塚浩司裁判長は判決理由で、被告の車のトランクから被害女性の血液が採取されたことは被告の犯人性を強く推認させると指摘。現場の住宅に残された靴下跡と被告の足形は特徴的形状が共通するといった間接事実も総合し、被告を犯人と認定した一審判決は論理則、経験則に照らして不合理とは言えないと判断した。現金を奪ったことも推認できるとした。

 過去の裁判では、計画性が認められなくても、強固な殺意があり殺害態様が残酷と認められる場合などには死刑が選択される傾向にあると指摘した。