米オークリッジでの原爆の犠牲者を追悼するイベントで、読経する内海行州さん(手前)ら=6日(共同)

 【オークリッジ、リバモア共同】米軍による広島への原爆投下から80年を迎えた6日、米国で投下時刻の午前8時15分(現地時間)に合わせ、追悼イベントが開催された。広島の原爆で使用された高濃縮ウランを製造した南部テネシー州オークリッジでは今も罪悪感を抱える参加者が核廃絶を訴えた。

 オークリッジは米国による原爆開発の「マンハッタン計画」でウラン濃縮のため建設された「秘密都市」で「原子力の街」と呼ばれる。関連施設の記念館には原爆投下が「戦争終結に不可欠」だったと主張する展示もある。当時から稼働する核施設「Y12」は現在も核兵器や原子力船に供給される核燃料を貯蔵する。

 6日は二十数人がY12の前に集まり、一部の日本人犠牲者の名前を読み上げて折り鶴をささげ、被爆者の体験を紹介し核の惨禍を振り返った。投下時刻に黙とう後、州内にある日本山妙法寺の僧侶、内海行州さん(73)=宮城県美里町(旧小牛田町)出身=が読経した。

 内海さんは約40年間、毎年オークリッジに足を運ぶ。