被爆学生が着ていた「血染めの白衣」

 長崎大は被爆80年の今年、原爆投下時の惨状を伝える遺産を保全し後世に継承するため、クラウドファンディング(CF)で資金を集めている。被爆学生が着ていた「血染めの白衣」など3点に関し、劣化した部分の修復や展示環境の整備に活用し、修学旅行生らの平和学習にも役立てる狙い。22日まで受け付ける。

 長崎大の医学部は、爆心地から約1キロ圏内にあった旧長崎医科大が前身。当時、医学生や教職員ら約900人が犠牲になったとされる。「血染めの白衣」は、爆風で飛散したガラス片を浴びた医学生が身に着けていた。医学生は負傷したまま、ほかの被爆者の救護に当たったという。

 白衣は医学生の母親らによって、血が付いたまま保管されてきた。現在は長崎大の原爆後障害医療研究所の展示室で一般公開されている。繊維の劣化やカビが深刻なため、修復や保存、展示方法の見直しが必要となる。