「ねがわくば、この浦上をして世界最後の原子野たらしめたまえ」。石破茂首相は9日、長崎市で開催された平和祈念式典のあいさつで、自らも被爆しながら救護に尽力した医師永井隆博士(1908〜51年)の随筆「長崎の鐘」の一節を引用した。
首相はキリスト教のプロテスタントを信仰している。浦上地区では多くのカトリック信者が原爆の犠牲になり、永井氏もカトリックだった。
浦上天主堂(同市)では、二つの鐘のうち原爆で大破した一つが、被爆80年に合わせ復元された。首相は「先ほど、80年の時空を超え二口そろった鐘が、平和公園の長崎の鐘とともに、かつてと同じ音色を奏でた」と紹介し、随筆の一節を読み上げた。