仮設トイレ貸し出し事業などを展開する「キガ」(宇都宮市)が、土に埋めれば堆肥になる携帯用トイレを開発し特許を取得した。微生物が分解しやすい素材を使い、災害時の避難所で問題になる排せつ・衛生環境の改善策として、自治体から関心が寄せられている。
キガの「コンポストイレ」は、排せつ物を入れる樹脂フィルムの袋と、おがくずや消石灰を混ぜた処理剤からなる。便器に袋をかぶせ、中に処理剤を入れてから排せつする。口を縛って土に埋めれば、1〜2年で完全に分解され、堆肥になる。埋める場所がない場合も、おがくずの消臭と消石灰の消毒抗菌効果で、一定期間保管できる。
従来製品は袋を可燃ごみに出す必要があるが、災害時は自治体の収集力が落ちるため、しばらく保管せざるを得ない。収集車に入れる際に破裂するリスクもある。
昨年1月の能登半島地震では、水道が止まった避難所のトイレで汚れや悪臭など衛生環境が悪化する事例が相次いだ。キガの森野剛専務取締役は「被災者に、せめてトイレは快適に使ってもらえるようにしたい」と話す。