映画館に掲げられた映画「南京写真館」のポスター=3日、中国上海市(共同)
 映画「南京写真館」の撮影所を訪れた人たち=7日、中国上海市(共同)

 日中戦争中に起きた「南京大虐殺」を描く映画「南京写真館」が中国で上映され、今年夏の興行収入首位を記録した。上海にある映画の撮影所も公開され、観光客が殺到している。中国が抗日戦争勝利80年と位置付ける今年に合わせ製作。日本兵が多数の中国人を銃殺し乳児を地面にたたきつけるといった残虐な描写があり、対日感情の悪化が懸念される。

 中国メディアによると、7月25日の公開後、6千万人超を動員し、興行収入は23億元(約470億円)を上回った。

 映画は1937年に旧日本軍が陥落させた当時の中国国民政府の首都、南京の写真館が舞台。身を寄せる中国人が日本兵カメラマンの撮影した写真の現像を請け負い、虐殺を示す写真を見つけてネガフィルムを持ち出すストーリーだ。

 中国のSNSには映画を賛美する投稿が相次ぐ。映画を見たという子どもが「絶対日本人を許さない」と訴えたりする動画が拡散している。

 批判もある。南京出身の30代男性は「愛国心を強調し、経済低迷などの失政から国民の目をそらす意図を感じる」と否定的だった。(上海共同)