子宮頸がんの新たな治療法について説明する岡山大の長尾昌二教授
 子宮頸がんの新たな治療の流れ

 病状が進行した子宮頸がんの患者に対し、将来的に妊娠を目指せるよう子宮を摘出せずに治療する臨床研究を岡山大のチームが18日までに開始した。腫瘍を抗がん剤で小さくした後に手術をするもので、海外で事例があるが国内では初という。長尾昌二・岡山大教授は「妊娠を諦めず治療にトライしてほしい」としている。

 子宮頸がんは子宮の入り口近くにできるがんで、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因。毎年約1万人がかかり、約2900人が死亡するとされる。

 チームによると、従来の治療法では、周りの正常組織への広がりが深さ3ミリ超になると、妊娠を希望する場合、子宮の入り口と周囲を広く切除する必要がある。だが妊娠率は約20%と低く、流早産率も高い。さらに腫瘍の大きさが2センチ超になると子宮温存はできない。

 臨床研究は、40歳未満で、腫瘍が子宮にとどまり、大きさ2センチ超の患者が対象。病状進行を表すステージは1B2期と1B3期で、温存ができないとされてきた。