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日本では約2,800万人(※1)が「肥満」に該当し、その中には「肥満症」という病気が隠れているといわれています。肥満と肥満症の違いや必要な治療を学ぶ「市民公開講座」が9月14日(日)に、じゅうろくプラザ(岐阜市橋本町)で開催され、参加者がスペシャルゲストとともに肥満症の正しい理解を深めました。
第1部 専門医によるミニ講義
講師
岐阜大学医学部附属病院 糖尿病代謝内科/免疫•内分泌内科准教授
加藤 丈博氏

肥満症ってどんな病気?
〜正しく知りたい肥満症のホントの話〜
肥満+健康障害で肥満症と診断
肥満とは、身長と体重をもとに算出する体格指数(BMI)が25以上の状態を指します。また、肥満に加えて脂質異常症や高血圧、冠動脈疾患などの健康障害を合併する場合や内臓脂肪型肥満である場合は、肥満症と診断されます。(※2)
日本で肥満とされる人は、4人に1人の割合である26.3%で、特に20~40代の男性で増加傾向にあります。(※3)その原因の一つとして、脂質や糖質の多い食事へと変化した“食の半欧米化”が挙げられ、特に動物性油脂の増加が肥満や糖尿病などの生活習慣病の増加につながっているといわれています。
肥満症とは単なる肥満とは異なり、肥満によってすでに健康への悪影響が現れている状態です。進行すると、高血圧や脂質代謝異常などのメタボリックシンドローム、慢性腎臓病、脳卒中や心不全といった心血管病など、命に関わる病気につながる可能性があります。BMIが高いほど合併する健康障害の数も多くなるため、早期に肥満対策を意識することが必要です。肥満を改善すれば、こうした健康障害の発症や進行を予防することが期待できます。
治療の基本は食事と運動
肥満や肥満症は、個人の食べ過ぎや運動不足だけが原因ではありません。体質の遺伝や胎児期の栄養状態、不規則なライフスタイル、食事や運動量などの生活環境、ストレスなど、さまざまな要因があり、その要因によって肥満症の治療もさまざまです。
まず基本となるのが、食事•運動療法です。肥満の改善には、摂取カロリーと消費カロリーのバランスについて、知識を深めることが大切です。何も食べずに体重を減らすと、筋肉も減ってしまうので、筋肉をつくるたんぱく質や代謝を活発にするビタミン、ミネラルをしっかりと摂ることや、筋肉を落とさないよう、1日30~60分の運動を週3日以上行うことを心がけましょう。
食事は、一汁三菜で栄養バランスがよく、動物性油脂が少ない日本食がおすすめです。食べる際は、食物繊維から食べると糖の吸収を抑えることが考えられており、最初に食物繊維の多い野菜やきのこ、海藻類を食べ、次にたんぱく質が豊富な肉や魚、卵、大豆製品、その5分後にご飯やパンなどの炭水化物を食べると、食事摂取量を抑えられます。(※4)また、よく噛むことで空腹感を軽減させてくれます。
治療や薬の新たな選択肢も
このほか、食事•運動療法だけでは効果が不十分な場合は、毎日の食事や運動を記載して原因を自覚し、ライフスタイルの変容を促す行動療法、薬による食欲抑制や代謝促進で減量を促す薬物療法、食欲に関わるホルモンが多い胃の大弯側を切除し、食事の摂取量を減らす外科療法などを選択します。
最近は、肥満症が治療の必要な疾患であることが認識され、新たな薬が使えるようになるなど、治療の選択肢も増えています。肥満症は、さまざまな要因が複雑に絡み合っており、決して本人だけの問題ではありません。一人で抱え込まず、まずは専門医に相談してほしいと思います。また、肥満症を正しく理解し、肥満に悩む家族や周囲の人にも受診を勧めてみてください。
(※1)厚生労働省 国民健康・栄養調査(令和元年)https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf(2025年9月閲覧)の「肥満者の割合」と2019年人口推計より算出した推計値
(※2)「日本肥満学会編:肥満症診療ガイドライン2022. ライフサイエンス出版. 2022; p.1」から引用
(※3)「日本肥満学会編:肥満症診療ガイドライン2022, ライフサイエンス出版, 2022, p.29」から引用
(※4)「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 2021, Vol. 106, No. 9, e3778–e3780」. から引用
第2部 パネルトーク
タレント•元プロレスラー•『その肥満、肥満症かも!』 プロジェクトサポーター
佐々木 健介氏 北斗 晶氏
第2部では、タレント•元プロレスラーで『その肥満、肥満症かも!』プロジェクトサポーターを務める佐々木健介•北斗晶夫妻が、会場の参加者とともに、肥満症に関する○×クイズに挑戦。加藤先生の解説とご夫妻の軽快なトークを聞き、参加者は楽しみながら肥満や肥満症に関する知識を学びました。

「肥満は自己責任」と思っていませんか?
~正しく知ろう、まずは話そう~
Q1 肥満症は「太っている状態」を指す言葉である。
北斗 これは〇じゃないの?あれ? 健介も会場の皆さんも×!?
加藤 答えは×ですね。ただ太っているだけの状態なら「肥満」ですが、「肥満症」は、それに加えて健康障害が合併される場合を指します。つまり、治療が必要な状態ということです。
北斗 そうなんだ。肥満症って言葉は聞くけれど、どういうものなのか、よく分かっていなかったですね。
佐々木 先生、プロレスラーだった時は、とにかく食べて体重を増やさないといけなかったんですが、僕も肥満症でしょうか…。
加藤 もし肥満だったとしても、健康診断などで高血圧などの健康障害が見つからなければ、肥満症ではないんですよ。心配なら、合併症のリスクがないかどうか検査してみてください。
北斗 肥満症ではなくても、ふたりとも肥満には入るので、気をつけないといけないですね。
Q2 太る原因は自己管理ができていないから。
佐々木 これは×だと思います。運動量が多いプロレスラーでも、太ったことを気にしている人もいたので、自己管理だけじゃないと思うな。
北斗 私も、昔から「太るのは意志が弱いからだ」って言われてたけど、出産してから何をしても体重が減りづらくなって、「努力だけでコントロールできないんじゃ…?」と感じてたんですよ。だから、×じゃないかな。
加藤 おふたりとも正解です。肥満は、遺伝や体質などさまざまな要因があるので、意志だけではコントロールできない場合もあります。ストレスを感じた時も、コルチゾールというストレスホルモンが出て、甘い物が欲しくなることもあるんですよ。
北斗 それは日々、実感してます。ストレスが原因だったのか。じゃあ、健介のせいじゃないか!
佐々木 僕も怒られた後、よく甘い物食べてます(笑)。
加藤 ほかにも、夜勤が多くて眠れないと夜の過食につながったり、職場でお酒を飲む機会が多かったりと、生活環境にも大きく影響を受けますね。
北斗 たしかに、地方での仕事でホテルに泊まっていると、あまり眠れなくて食べてしまうことはありますね。睡眠の質は大事だと思います。結局、健介がそばにいないと眠れないんですよ。
佐々木 そうそう。こう見えて、寂しがりなんです。
Q3 肥満がもたらす健康障害がある場合(肥満症)を放置すると、深刻な病気につながる可能性がある。

北斗 病院でも「体のことを考えて摂生しなさい」って言われるし、絶対に〇だと思うな。
佐々木 会場の皆さんもほとんど〇だから、〇で合っていると思う!
加藤 皆さん、大正解です。肥満症は、さまざまな健康障害の先頭に位置し、放置するとドミノが倒れるように、次々と健康障害が起こる可能性もあります。反対に、肥満症を食い止めることで、将来発症する可能性を抑えることが期待されます。
北斗 体重が増えると、膝に負担がかかって歩けなくなるかもと思っていたけど、脳梗塞や心筋梗塞の危険もあるんですね…。
加藤 肥満症で高血圧が続くと、血管が硬くなって脳出血になったり、血管が詰まって脳梗塞や心筋梗塞になったりします。
佐々木 多少ぽっちゃりしていてもいいと思ってたけど、ゾッとしますね。
Q4 肥満や肥満症の方が減量しても体重が戻ってしまうのは、気持ちが足りないから。
北斗 リバウンドってことですね。気持ちが足りないって言われても、コントロールできないんですよ。だから絶対×!
佐々木 僕は、プロレス時代から「気持ちがすべて」って言われてきたから〇!
加藤 気持ちはもちろんあった方がいいですが、それだけでは難しいです。だから、答えは×。体重が減ると、体は「これ以上減らしてはいけない」と防御機能が働き、食欲を誘導したり基礎代謝を下げたりして、体重を戻そうとするんです。慣れてくると落ち着いてくるので、体重を維持すれば次の減量につながります。
佐々木 プロレスを引退してから、食事量を減らしているんですが、気を抜くとすぐに体重が戻っちゃう。減量した状態を維持して、体を慣れさせることが大切なんですね。
加藤 我慢し過ぎるのもストレスになって長続きしないので、少しずつ慣れていくことが大切です。周りでサポートしてくれる人がいるといいですね。
佐々木 奥様、頼むよ。
北斗 やれるなら、とっくにやってるよ!
Q5 肥満症の減量治療は、医療機関に相談することができる。
佐々木 これは絶対に〇でしょう!
北斗 そう。今日、学んだ一番大事なことだね!
加藤 そうですね。肥満症は、自分だけで抱え込むのではなく、専門家の手助けを得て、治療を続けることが大切です。最近は専門外来が増え、さまざまな治療も出てきていますので、ぜひ一度相談してほしいですね。
北斗 「太っているのはだらしないからだ」と言われて、悩んでいる人もいると思うんですよ。でも今日学んだように、肥満症はいろいろな原因があって、治療が必要な病気だと教えてもらえば、見方が変わると思います。相談できる場所があるっていうのは、ありがたいですね。
佐々木 一人で抱え込まず、家族や医療機関に相談することが必要ってことだよね。
北斗 私に相談したってダメだよ!先生にしないと!
加藤 家族も肥満症の正しい知識を持って接することは重要ですよ。皆さんも、周りの人から相談を受けたら、医療機関の受診を勧めてみてください。
クロージング
岐阜大学大学院医学系研究科糖尿病内分泌代謝内科学教授 肥満症治療センターセンター長
恒川 新氏

肥満症は専門家の治療や支援が重要まずは専門家に相談を
今回、肥満と肥満症の違いを初めて聞いた人も多いかもしれませんが、日本では世界に先駆けて、両者を区別して診療が行われてきました。肥満症治療の目的は、体重を減らすことではなく、肥満症の先に起こる健康障害を予防•改善することです。そのためには、医療のサポートを受けることが非常に重要になります。近年は、専門家による治療の重要性が注目され、肥満外来や保険適用となる治療も増えています。肥満に悩んだら、まずは専門家に相談することから始めてみてください。
主催•共催/岐阜岐阜新聞社•岐阜放送、日本イーライリリー株式会社、田辺ファーマ株式会社、岐阜大学糖尿病内分泌代謝内科
後 援/岐阜県
(審)26l013 2025年12月作成 PP-ZP-JP-1208









