“秘境感”たっぷりの世界遺産、五箇山の相倉合掌造り集落=富山県南砺市
合掌造り民家園内の休憩所「中野長治郎家」のいろり端で甘酒と、餅入りぜんざいをいただく(温かいメニューは4月10日で終了)=大野郡白川村荻町
民家園内の合掌造り家屋「中野義盛家」では加須良と桂の写真が展示されている=大野郡白川村荻町

 源平の戦いで敗れた平家の残党や家臣が隠れ住んだと伝わる「平家の落人伝説」が全国各地に残る。岐阜県内ではユネスコ世界遺産の合掌造り集落・白川郷(大野郡白川村)が筆頭。同時に世界遺産となった富山県南砺市の五箇山地方にも伝わる。飛越を南から北に流れる庄川をたどってそれぞれの合掌造り集落を訪ねた。

 県北西端の白川郷は庄川の上流域、富山県南西端の五箇山は中流域に位置している。どちらも縄文土器が出土するなど太古から人が住んでいた。1000~1700メートルの山々が連なってかつては容易に人が近づけず、豪雪の冬は陸の孤島となるなど、“隠れ里”の条件を満たしていたのだろう。中世には越中からの白山参詣道が通り、修験者らが行き来したとされる。

 五箇山には、平家を思わせる「平(たいら)」、「上平(かみたいら)」の地名が残るが、関連を否定する人も。南砺市観光協会の山﨑友紀恵さんは、「落人の史実はないので、あくまでも伝承」とする。その上で「修験者らが都の文化や、はやりものを伝えた。その中に平家の落人伝説もあったのではないか。五箇山は木曽義仲と争った倶利伽羅峠(くりからとうげ)の戦いで平家に味方した地方だったので伝説が結び付きやすかったのかも」と話す。

 また、農作業をする落人が都をしのんで唄(うた)い踊ったとされる民謡「麦屋節(むぎやぶし)」も伝わる。上平に「菅沼(すがぬま)」、10キロほど北に離れた平に「相倉(あいのくら)」と、2カ所の合掌造り集落が残る。

 県境を挟んでかつては加須良(白川村)と桂(南砺市)という集落があり、ここにも落人伝説があったとされる。両集落とも昭和40年代に廃村となったが、加須良の合掌造り家屋は、白川村荻町の野外博物館「合掌造り民家園」に移築、公開されている。

 園内では加須良から移築した県重要文化財の合掌造り民家のほか、水車小屋や神社、寺本堂などもあり、かつての集落の姿を再現している。加須良と桂の暮らしを映像などで紹介する「かたりべの館」や廃村前に撮影された両集落の写真展、養蚕道具を展示する「中野義盛家」も見応えがある。

【案内】

 合掌造り民家園 住所=大野郡白川村荻町2499。営業=午前8時40分~午後5時(3~11月)。交通=東海北陸自動車道「白川郷インターチェンジ」から国道156号経由で約10分。問い合わせ=電話05769(6)1231。