タンクをかき混ぜ、発酵を均一に促す服部龍二杜氏
江戸時代から続く老舗蔵元の白扇酒造
白扇酒造の酒造りについて語る加藤孝明社長(右)と服部龍二杜氏=いずれも加茂郡川辺町中川辺、白扇酒造

 2024年12月、日本の「伝統的酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたのは記憶に新しい。「米」と「水」というシンプルな原料から、微生物が発酵させる力を最大限に引き出して「日本酒」という繊細な芸術品を醸し出す。500年以上の歴史を持つ麹(こうじ)菌を用いた技術は、各地の気候や風土に合わせ、日本各地で発展してきた伝統文化として世界的に高い評価を受けている。その技術を引き継ぐのが酒蔵であり、酒造りを行う杜氏(とうじ)ら職人だ。

 加茂郡川辺町中川辺の白扇酒造は、江戸時代後期にみりん醸造を、1899年に日本酒造りを始めた。1951年には株式会社化し、日本酒は「黒松白扇」のブランド。超軟水とされる硬度40ほどの飛騨川の伏流水がもたらす口当たりの柔らかさと、芳醇(ほうじゅん)で飲み飽きない味わいが魅力の商品は、地元をはじめ全国の人々に親しまれている。

 加藤孝明社長(76)は、みりんは全国販売を行っているものの、日本酒については「地元に愛される酒を造る」ことを明確な方針として示している。「賞を取るような味を狙うのは、白扇酒造の個性が出ない。お客さんがここへ直接買いに来て、おいしいと買ってくれるお酒。そこに力を注ぐ」と力を込める。そのため主要な販路はイベントでの直接販売や、顧客へ直接届ける通信販売だ。酒造りに携わって13年という服部龍二杜氏(38)はほぼ毎月、イベントで来場者に販売を行う際、「直接、お客さんと会話をし、味の評価をもらい要望も聞いている」という。

 「百華の宴」について、岐阜の食文化と酒文化を楽しんでほしいというコンセプトから、食事をしながら楽しむ「食中酒」を目指した。加藤祐基副社長(42)や服部杜氏は味について、大吟醸でありながら...