高齢者交通安全大学校の開校式で田崎新一署長から任命書を受け取る渡邉明洋さん(中央)=4月26日午後、羽島市役所

 岐阜県内で65歳以上の高齢者の交通事故死が際立っている。今年は1日までに交通事故で18人が命を落としているが、うち9割近い16人が高齢者だ。近年は6割程度で推移してきただけに、異例の高水準。大型連休中は交通量が増えることもあり、県警は「高齢者を交通事故の被害者にも当事者にもしないよう、高齢者自身だけでなく、周囲も注意を払ってほしい」と協力を呼びかけている。

 1~3月の交通死亡事故を詳しく見ると、今年は高齢者が91・7%と過去10年で飛び抜けて高い。死者数は全体で12人(昨年同期比4人減)と減った一方、高齢者が11人(2人増)と増えたのが原因。高齢者11人の内訳は、歩行中が4人、自転車利用中が4人、自動車乗車中は3人となっている。

 歩行中の4人は、大垣市や瑞浪市、安八郡安八町でいずれも道路を横断中に車にはねられて亡くなった。県警交通企画課は「道を渡り切れると思って横断を始めるものの、考えているよりも身体機能が低下していて渡れず、事故に遭うケースも多い」と分析。自転車利用中の4人も、運動能力や判断能力が下がっていることが少なからず影響したとみられる。自動車乗車中の3人のうち、運転していたのは2人だった。

 県警交通企画課の担当者は「高齢者とその家族が気を付けるだけでは、悲惨な事故を防げない」と指摘し、「子どもを見かけたら急に道に飛び出さないか気を付けるように、高齢者を見かけても注意を払ってほしい」と強調。「異例の事態が逆に、地域全体で高齢者を交通事故から守る機運を高めることになれば」と期待を込める。

 対策が急務の中、高齢者をターゲットにした事故防止対策は各地で続けられている。4月22日に80歳の高齢ドライバーが死亡する事故が起きた羽島市では同26日、地域の高齢者が「学生」となり交通ルールや事故の恐ろしさなどを学ぶ県独自の取り組み「高齢者交通安全大学校」の開校式が行われ、福寿町老人クラブ連合会の会員約30人が「入学」した。

 岐阜羽島署が中心となり、事故の危険性が高い場面を実践的に学ぶシミュレーターの体験会や、自動車学校の教習コースを使った交通安全教育などを来年2月まで実施する。田崎新一署長は、連合会長の渡邉明洋さん(81)に「学長」の任命書を手渡し、「交通安全の知識と技能を習得し、まずはご自身が被害者や事故当事者にならないようにしてもらいたい」と訴えた。