2002年5月28日「妊婦健診で推定3800グラム(予定日までいっても、なんとか4500グラムで済むとのこと)」、6月10日「4200グラム(妻がスイカを一日で半分食べた)」、6月17日「4800グラム(頭が大きいため通常分娩は無理で、予定日前に帝王切開することに)」、6月20日「帝王切開(予想よりかなりスリムで、4160グラム。予想は骨格で判断するためらしい)」。私の5年日記からの引用です。

 出産時の体重4160グラムは、予想より少なかったとはいえ、かなり大きなケースでした。妻は、病院の先生や看護士さんも驚かれるほど大きなお腹を抱え、大変だったと思います。暑い年で、妻は出産前、スイカばかり食べていました。「桃から生まれた桃太郎じゃないけど、明浩はスイカから生まれた子だね」と、2人でよく笑い合ったことを覚えています。

 生後3カ月、お出かけで笑顔の明浩さんを抱く浩史さん=愛知県犬山市、リトルワールド

 名前は、画数などを考え、2人でいろいろ迷った末に決めました。何より「明るい」子になってほしい、という願いを込めてのことです。親が言うのはなんですが、その名の通り、明るい子になったと思います。私の生徒に「優芽ちゃん」という子がいます。その子も、ご両親の「優しい芽が育ってほしい」との願いの通り、とても優しい子に育っています。名前は、両親の願いが込められたもの。だからこそ、私自身も大切にしたいと思います。

 息子は、とにかくよく笑い、よく泣く、感情豊かで、明るく元気な子でした。その性質は、成人になった今も同じ。いつも明るく元気で、どんなピンチのときでも、常に前向きです。前向きな性格は、厳しい将棋の世界に向いていたのかな、と感じます。

 この時期の日記には、「明浩は、げんこつでなく、指しゃぶりができるようになった。すごい進歩だ。最近はよく声も上げる」などと書かれています。誰もが通る乳児期の成長過程ですが、一日一日の子どもの成長が、自分のことのようにうれしかったことを覚えています。

 この時期、携帯電話をカメラ付きのものに変更し、明浩の笑顔の写真を何枚も撮っていました。子どもの写真をたくさん撮られる、今のお母様やお父様と同じですね。当時は、カメラ付きの携帯が流行した頃ですが、メーカーが異なると写真を共有できませんでした。そのため、友人と、それぞれの携帯で写真を見せ合って楽しんだことを覚えています。今は、オンラインで何でもできる便利な時代になりましたが、やはり、対面でのコミュニケーションは良い思い出となるように感じています。

(「文聞分」主宰・高田浩史)