桜堂薬師の本堂内陣に並ぶ室町時代から江戸時代にかけての仏像群。奥にある宮殿には本尊、手前の箱形の厨子内には「十六善神」が安置されている=瑞浪市土岐町
桜堂薬師のハス池。現在植えられているのは中津川市阿木から苗を分けてもらって育てた5種類の花ハス。保存会のメンバーらで管理している=瑞浪市土岐町
きなぁた瑞浪にある「ボーノポークハム工房“瑞浪”」で販売されている手作りハムやベーコン

 木造薬師如来坐像(ざぞう)を本尊とする岐阜県瑞浪市土岐町の桜堂薬師。創建は812年で、嵯峨天皇の病気を癒やし信頼があつかった天台僧の三諦(さんたい)上人が開山したと伝わる。堂前の池には数種類のハスが植えられ、7月から8月にかけて白やピンクの大輪の花を咲かせる。

 桜堂薬師の正式名称は「瑞桜山法妙寺」。開山時は現在地より200メートル離れた通称「桜山」の中腹にあり、10年ほど前に遺構が発見された。平安時代には嵯峨天皇の勅願寺として七堂伽藍(がらん)が整えられ、「比叡山」「高野山」と並び“日本三山”といわれるほど隆盛を極めた。その後、織田信長の命による焼き打ちで焼失した。

 江戸時代前期に比叡山から派遣された僧、永秀と賢秀が復興。岩村藩主の援助で現在地に本堂が再建された。約20年前に無住寺となってからは、桜堂区民らでつくる桜堂薬師保存会や同世話人の加藤辰男さんたちで維持管理している。

 特別に入らせてもらった本堂内陣には、中央に大きな宮殿、周囲には四天王や十二神将が並ぶ。宮殿内に安置された本尊は秘仏で、開帳は60年に1度。内陣に置かれた箱形厨子(ずし)の中には1本の木から彫り出された十六善神が収められている。厨子を背負って布教活動をしたという。

 外陣回廊には江戸時代に奉納された絵馬や俳句を書いた句額、鎌倉時代から江戸時代にかけて制作された舞楽面(陶製レプリカ)が置かれ、外から見ることができる。また、風格のある仁王門や観音堂の外縁の絵天井も見どころ。

 前保存会会長の加藤誠さんは、本尊について「病気平癒の御利益の大きい古いお薬師さま。優しいお顔をされている」と話す。現会長の棚町登さんは「本尊を描いた絵馬を作ったり、勉強会を開いたりしている」と、地域で薬師を守る活動を進めている。

 薬師周辺には、中世の史跡や「きなぁた瑞浪」の野菜畑が広がる。薬師からきなぁた瑞浪の直売所までは400メートルほど。特産のブランド豚肉「瑞浪ボーノポーク」を加工販売する工房もあり、カフェを併設。ハムやベーコンを使った軽食がおいしい。火曜日休み。

【案内】

 桜堂薬師 住所=瑞浪市土岐町5728。交通=中央道「瑞浪インターチェンジ」から国道19号経由で約10分。問い合わせ=棚町さんの携帯電話090(8556)5097。